Meryl Streep (メリル・ストリープ) 女性が生きる3回の人生とは?

私が好きな女優メリル・ストリープが3月に来日しました。魔女役で出演した最新作『イントゥ・ザ・ウッズ』(Into the Woodsの宣伝のためですが、テレビでふと見た記者会見でのこんな発言が印象に残っています。

 

「女優の場合、40歳を過ぎたら、役をいただけるだけで感謝しなくては・・・」(→もう若くはないので、「魔女役でも何でも引き受けます」の趣旨かと思います。)

 

古今東西を問わず、女優の場合、10代から20代、人によっては30代までは若さや美貌で勝負できても、それが無くなった中年期や高年期までその人気を維持するのは難しいということでしょうか。

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一般的に女性は、男性より長生きしますし、結婚相手が自分より年上であれば、①独身時代、②結婚時代、③未亡人時代(ポスト結婚時代)の3つの人生を生きることになります。日本女性の場合は、90歳くらいまで生きる人はざらにいますし、最近は晩婚化も進んでいますので、それぞれの人生ステージで約30年間を生きるというケースも稀ではないと思います。

メリル・ストリープが偉大なのは、どのステージで生きる女性を演じても、その演技において高い評価を受けてきたことです。

  • 結婚して家事と育児に専念する専業主婦の葛藤を描いた「クレイマー・クレイマー」(Kramer vs. Kramer)(1979年  アカデミー助演女優賞)
  • 独身女性の不可解な心理と行動を描いた「ソフィーの選択」(Sophie’s Choice)(1982年 アカデミー及びゴールデングローブ主演女優賞)
  • 沢尻エリカ主演のTVドラマ「ファースト・クラス」の原型かも知れない「プラダを着た悪魔」(The Devil Wears Prada)2006年 ゴールデングローブ主演女優賞)
  • バリバリのキャリアウーマンの心の奥に迫った「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」(The Iron Lady)(2011年 アカデミー主演女優賞)
  • ③未亡人時代の人生から②結婚時代の秘め事を回想する「マディソン群の橋」(The Bridges of Madison County(1995年 意外といい映画でした!)

ところで、彼女の代表作はほとんど観たと思っていた私ですが、今まで見逃していて、パナマに来てたまたまテレビで観た「31年目の夫婦げんか」(Hope Springsは 、個人的には上記のどの作品よりも面白かったです。

パートナーと共に歩んできた人生で、恋人→妻→母親の役割を果してきた女性が、老後の長い人生をどう生きようかと葛藤するコメディ・ドラマです。共演は、日本ではCMに出演するオジサンとして有名なトミー・リー・ジョーンズです。

この映画に出てくるような男性は、日本にもよくいます。でも、日本の奥様たちの中には、そんな回収されない家庭の「粗大ゴミ」とは向かい合おうとはせず、同じような境遇の女友達と連れ立って、旅行、ショッピング、グルメ、さらに趣味の世界に逃避されている方も多いかと思います。

夫婦揃って、老後の人生についてカウンセリングを受けながら、お互いの内面をさらけ出すというドラマの設定ですが、この映画を観れば主人公に思わず感情移入してしまう方も多いかと思います。魔女役を引き受ける今日まで、しぶとく生き残ってきた大女優メリル・ストリープの魅力のすべて詰まったこの映画を、アラカン以上の世代の方にお勧めします。

 

 

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