フィデル・カストロ(Fidel Castro)が目指した理想の社会主義社会はいつ実現するのでしょう?

8月13日は2016年11月に死去した革命の英雄フィデル・カストロの誕生日でした。例によって、今週のキューバ のテレビや新聞は、カストロの誕生日とこの日に合わせて始まった新憲法草案の「国民審査」のニュースで埋め尽くされました。(改正憲法草案は街中で1キューバ ペソ=4.5円で販売されています。写真はGranma氏から引用しました。)

 

新憲法草案の中身ですが、最も注目された今後の経済体制については、相変わらず旧ソ連などかつての社会主義国が採用していた国家主導の計画経済体制を維持し、「社会正義と平等」を守るため民間セクターは国が厳しく統制し「富の集中」を禁じています。

若き日のカストロ兄弟

この新憲法草案なるもの、前の国家評議会議長で現在も共産党のトップの地位にあるラウル・カストロを中心に起草されたましたが、現行の憲法で共産党が全てを牛耳るとされているキューバ で反対できる人などいるはずもなく、この草案がほぼそのまま新憲法になることは間違いありません。

新憲法草案を「勉強」するキューバ 市民

中国やベトナムなど同じく社会主義国を掲げる国は、随分前に大胆に市場経済を導入していますが、唯一キューバ だけは今後も古典的なマルクス・レーニン主義を死守しながら、歴史上どの国も実現できなかった理想の社会主義国家の建設を目指すようです。

かつて革命広場に集まった大群衆。旧ソ連の赤の広場や中国の天安門広場など、社会主義国にはなぜか広大な「広場」があります。

キューバ⾰命でフィデル・カストロが理想として掲げたのは平等社会の実現と対アメリカ⾃主・独⽴で、かつての演説では必要があればキューバ国民は100年以上でも戦うと述べました。

「必要ならば100年戦おうじゃないか(Si necesitamos luchar más de 100 años, lucharemos)」

 

しかしながら、いつも強気なイメージがあったフィデル・カストロですが、旧ソ連の崩壊によりキューバが苦境に陥った1994年には、フランスの『パリ・マッチ(Paris Match)』という雑誌のインタビューの中でこんなことを述べています。

「私は地獄に落ち、そこで(資本主義者と共に)マルクスやエンゲルスやレーニンと出会うだろう。地獄の熱さなど、実現することのない理想を持ち続けた苦痛に較べれば何でもない…。」

“Usted sabe, yo iré al infierno, y sé que el calor ahí será insoportable, pero será menos doloroso que haber esperado tanto ese Cielo que nunca cumplió sus promesas… Y al llegar encontraré a Marx, Engels, Lenin. Y también lo encontraré a usted, porque los capitalistas también van al infierno”. 

フィデル・カストロは、理想の社会主義国家の建設など不可能だととっくに気付いていたのでしょう。命懸けで戦ってきた革命の同士や困難な状況の中でも自分について来てくれる(ついて行くしかない?)国民の手前、弱気になって本音を語れないままあの世に旅立ったのかもしれません。

フィデル・カストロさえもう無理だと思った社会主義という夢と理想の実現に向かって、キューバ国民はまだ「社会主義か死か(Socialismo o Muerte)」、「祖国か死か(Patria o Muerte)」、「常に勝利に向かって(Hasta Victoria Siempre)」のスローガンの下に戦い続けています。フィデル・カストロの予言通り、本当に100年以上闘う(戦うしかない)かもしれません。

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