3月8日に「民主主義国家」キューバで国会議員選挙が行われました。

「民主主義」という言葉の定義はいろいろあるようですが、国民が主権を持ち、国民が自らの手で自らのために政治を行うべきという主張は共通しています。これと対になるのは、おそらく独裁主義とか専制主義という言葉でしょう。現在では、おそらく世界中のすべての国が民主主義を標榜しています。しばしば独裁主義と批判されるお隣の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は国名の通り、また、キューバも憲法第3条で主権が国民にあることを規定し、民主主義を標榜している国です。世界に沢山ある「民主主義国家」の一つであるキューバで、3月8日(日)に国会(人民権力全国)議員の選挙が行われました(県レベルの選挙も同時に行われました)。

投票するラウル・カストロ国家評議会議長(Granma紙より引用)

この日、キューバのテレビや新聞は朝から晩まで選挙に関するニュースを報じていました。しかしながら、日本の国政選挙や米国の大統領選挙では、選挙報道のたびにハラハラドキドキする人も多いと思いますが、キューバでは誰も喜んだり悲しんだりしません。それもそのはず、立候補者数と定員数が同じなため、初めから全員当選(承認)が決まっているからです。キューバを民主主義の国だと定める憲法第3条は、同時にキューバは社会主義と革命的な経済・社会システムに基づく国であり、二度と資本主義には戻らないと規定しています。また同じく憲法の第5条は、キューバ共産党は社会主義国家の建設から共産主義社会の実現までのプロセスを指導する唯一かつ最高の機関であると規定しているので、現在のキューバの政治・経済の体制や共産党の指導に反対する人は選挙に立候補できない仕組みになっています。

キューバ共産党の本部があるビルです。

米国政府は、キューバで「民主主義」が確立され、複数政党による自由選挙、さらに私企業の参入による経済改革(つまり資本主義化)により、人々が抑圧と貧困から解放されることを経済封鎖などの圧力を解除する条件としています。しかしながら、キューバ政府は、キューバは国民主権に基づいた民主主議国家であり、国民の総意で制定された憲法によって社会主義革命の道を歩んでいると反論します。また、資本主義には戻らないと規定する憲法第3条は、同じく憲法第135条により、改定できないと規定されています。つまり、現在のキューバを米国の要求通りに「合法的」に変革することは不可能ということです。

あるキューバ人曰く、キューバ流の民主主義にも問題があるけれど、あんな大統領を生み出すようなアメリカ流の民主主義を押しつけられるのはゴメンだ!米国は他の国を批判する前に、自分の国の問題を解決すべきた。こんな風に考えるキューバ人も多いと思いますが、何となく説得力を感じるので不思議です。

 

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