「アラカン男の独り言」「パナマ文書(The Panama Papers)」と言う妖怪が世界中の有名人を震撼させています。

 (ラテンアメリカの「金融センター」と呼ばれるパナマ市です。)

日本ではなぜ大きく報道されないのか不思議ですが、パナマ時間で4月3日(日本時間で4日)に、「パナマ文書(The Panama Papers)」と呼ばれる驚くべきニュースが世界中の国を駆け巡りました。CNN、FOX、 BBCなどの大手メディアもトップニュースで取り上げています。

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パナマ市にある法律事務所「モサック・フォンセカ(Mossack Fonseca)」が手掛けた「租税回避地(タックスヘイブン)」におけるペーパーカンパニー設立に関する膨大な顧客情報がドイツのある新聞社(「南ドイツ新聞」)にリークされ、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)という組織を通じて世界中のメディアグループに公開されました。驚くべきは、それらの顧客リストの中には、ロシアの大統領の側近、中国の国家主席の親族、アイスランドや英国の首相の家族、さらにプロサッカーの選手や人気俳優など世界中の著名人の名前が含まれていたことです。アメリカの関係者の名前が挙がっていないのは不思議です。

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「租税回避地」を利用した金融取引は必ずしも違法ではありません。アップル、グーグルやアマゾン、さらにはスターバックスのようなグローバル企業は堂々と行っています。日本の多くの企業も行っていると思います。

でも、これを通じて税務当局からの資産隠し、犯罪活動から得た利益の洗浄、横領した資金や政治的に不都合な資産の隠蔽などが行われることもあるため、欧米各国の政府はすでに調査を開始しています。なお、アイスランドでは、国民の大きな抗議行動により、5日に首相が辞任表明をしています。また、ロシア政府は公開された資料の内容を否定し、中国政府は検閲によりこのニュースの存在自体を隠しています。現在のところ、公開されたのは膨大な情報の一部であり、今後さらに新たな事実が明らかになるかもしれません。

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 パナマ、さらにカリブ海にあるバハマや英国領 ケイマン諸島などの国や地域は、昔から「租税回避地」と呼ばれ、外国資本や外貨を獲得するために意図的に法人税や所得税を極めて低い率に設定したりして、企業や富裕層の資産を誘致しています。この仕組みを利用し、多くの企業や富裕層などが、「租税回避地」に法人を設立したりして、本来は自国に支払うはずの税金を逃れている実態があります。「租税回避地」から見れば、国内に実態がない企業などに対する金融サービスであることから、別名「オフショア(岸の向こう)」ビジネスとも呼ばれています。また、設立された法人の匿名性から、犯罪組織による資金洗浄(マネー・ロンダリング)やテロ集団による資金隠しの手段として用いられていることも指摘されています。

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さて、「パナマ文書」が明るみになってからのパナマでの動きですが、情報をリークされたパナマの法律事務所は脱税や資金洗浄への関与を否定し、自分たちは自社のシステムがハッキングを受けたので、むしろ被害者であると主張しています。また、パナマ大統領は6日にテレビ演説を行い、今後、実態を調査するために国内外の専門家による独立調査委員会を設置することを表明しました。パナマ政府にとってタイミングが悪いのは、今年の2月、パリに本部のある経済協力開発機構(OECD)の内部に設置された金融活動作業部(FATF)において、パナマは法・規則上の枠組みを構築し資金洗浄やテロ集団への融資への対策を十分行っていると認められ、これらの対策に非協力的な国や地域のリスト(通称「グレイリスト」)から除外されたばかりということです。今回の出来事で、すでにフランスなどは、パナマを再びリストに戻すべきと主張しており、国際社会での信用を失いたくないパナマ政府は誠に厄介な状況に直面しています。

また、パナマ大統領個人にとっても都合が悪いことには、話題となっている法律事務所の共同経営者の一人であるフォンセカ氏が最近まで大統領の顧問を務め、個人的にも親しい仲であることです。2014年7月の就任以来クリーンなイメージを売り物にしてきた現在の大統領ですが、ここに来てヒョンなことからつまずく可能性もあります。

パナマ在住の私としては、今後も世界中の関係者を震撼させているこの出来事の展開を興味深く見守っていくつもりです。

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 さて、冒頭でも述べましたが、日本ではこの出来事への関心が極めて低いのはなぜでしょう(日本人二人の名前も上げっているようですが…)。政治家やタレントの不倫の方がニュースとして価値がある日本は本当に幸せな国です。

 

 

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