「エベレスト(Everest) 」感想と評価(「八甲田山死の彷徨」のヒマラヤ版です)

日本では11月6日(金)に公開予定の映画「エベレスト(Everest) 」は、パナマでは1ヶ月以上早く公開されています。先週末にスペイン語字幕付きの3D版を観てきました。

こちらは、オリジナル(英語)版の予告編です。

ちなみに、私は一応アマチュアの登山家(アルピニスト)で、日本では最高峰の富士山や北アルプスの山々、さらにパナマでも3000メートル級の山を一応「制覇」しています。

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北アルプスの最高峰奥穂高岳の山頂にて

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パナマの最高峰ボルカン火山の山頂にて

 

♥しかしながら、3,000メートル級の山にやっと登っている私は、ヒマラヤ山脈の世界最高峰エベレストに登頂するのは無理だというのが、この映画で十分に理解できました。なにせ、エベレストの標高は富士山の約2.5倍の8,848メートルで、山頂の環境は空飛ぶジェット機の外とほぼ同じです。つまり、この映画の中でも語られましたが、最高風速は時速300㎞を超え、気温は零下何十度まで低下、気圧は地上の1/3で、酸素の供給を受けずに長時間留まれば、肉体と意識の両方の機能が停止してしまう「死のゾーン(Death Zone)」です。

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そんなエベレストですが、1953年に初登頂がなされて以来も、その征服の困難さが逆に世界中の登山家を魅了し続けています。この映画は1996年に、エベレスト登頂を目指して世界各地から集まったベテラン登山家グループを襲った実話に基づく悲劇を描いています。

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以下、映画を観てのさらなる感想とコメントです。

♥3D版で観ましたが、雪崩や嵐、クレパスの深さなど臨場感は抜群です。また、実際にエベレストで長期間のロケを行ったらしく、決して登ることができない山の雰囲気を多少なりとも疑似体験できました。でも、長時間あまりサイズの合わないメガネを掛けるのは少ししんどいです(日本ではもっと掛け心地のいいメガネが配られるかもしれませんね)。映画の画面は全般的に暗めでした。

♥登山グループのリーダー役を演じる男優はどこかで見たことがあると思いましたが、このブログでも紹介した「ターミネーター:新起動 ジェニシス」でジョン・コナー役を演じたジェイソン・クラークでした。

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♥事前にストーリーを知らなかったため、グループの大半が割と簡単に登頂に成功した時点で「やった!」と思いましたが、悲劇は下山の途中で起こりました。映画の後半は、まるで新田次郎の小説で、1977年に故高倉健の主演で映画化された「八甲田山死の彷徨」のヒマラヤ版のごとく、極限状態の中で登場人物が次々と絶命します。「ナンバヤスコ」さんという明らかに日本人と思われる女性登山家も登場しますが、もし実在した方でしたら、ご冥福をお祈りします。

♥グループが遭難した悲劇は、不十分な装備、さらにリーダーの優柔不断さが相まって、下山が大幅に遅れたことが原因で起こりました。映画は、昔も今も変わらない登山家への教訓を伝えてくれます。

♥舞台は約20年前の1996年ですが、エベレストの山頂近くにいる主人公が、アメリカの故郷で臨月を迎えている夫人と死の直前まで電話で会話するシーンがあります。その当時の電信電話技術もそれなりのレベルだったことが伺えます。

♥唯一の生存者は、凍傷で両手と鼻を切断する重傷を負いました。何故そこまでして山に登るのか、映画は「そこに山があるから」以上の解答は示してくれません。

 

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日本の北アルプスにもエベレストと形が似ている槍ヶ岳(写真の中央)がありますが、標高はエベレストの3分の1です。

 

最後に、日本のファン向けの予告編です。

 

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