「この世界の片隅に」の評価と感想(観終わった後に心が洗われたような気分にさせてくれる秀作です!)

太平洋戦争下の広島の呉を舞台に、大切なものを失いながらも前向きに生きる女性を描いた片渕須直監督によるアニメ映画「この世界の片隅に」を、自宅のそばにあるTOHOシネマズで観てきました。予告編はこちらです。

さて、この映画についての私の総合的な評価と感想です。太平洋戦争の時代を舞台にしたアニメ映画はいくつか観ましたが、それらの多くは悲劇や絶望がテーマとなっていた気がします。「この世界の片隅に」は、主人公すずの生き方を通じて、どんな時代でも身近な人を大切にして前向きに生きることの大切を教えてくれる映画です。観終わった後も、心が洗われたような気分にさせてくれる秀作です。

♥この映画は原作の漫画を映画化したそうです。制作費が足りなくなり一般から資金を募るクラウドファンディングにより完成したところ、さらにネットで評判が広がり上映映画館が拡大したところなどが、いかにもIT時代に生まれた作品らしいです。低予算ながらも、舞台となった呉や広島の当時の風景や、登場人物の姿や気持ちを実に丁寧に描いていて好感が持てます。

♥この映画には「悪役」が登場しません。主人公すずに辛く当たる義姉さえも、あの時代を逞しく生きた一人の女性として描かれています。ストーリーは、どんな国や時代でも人間が生きる上で必要な衣食住や家族の絆といった平凡かつ普遍的なテーマを中心に淡々と進行しますが、2時間の上映時間はあっという間に過ぎてしまいます。話は飛びますが、内戦が続くシリアや独裁政権下にある北朝鮮なども含めて、「この世界の片隅」にはきっとすずのような生き方をしている人間がいると思います。。

♥今年一番話題となったアニメ映画といえば「君の名は」ですが、作品の完成度の観点から、私としては「この世界の片隅に」の方をオススメします。「ザ・フォーク・ クルセイダーズ」の1968年のヒット曲「悲しくてやりきれない」が、現在の歌手によってカバーされて冒頭に流れるのもアラカン世代には嬉しいです。

 

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