「アラカン男のラテンな人生」小説「ある日曜日(Um Dia de Domingo)」の完結

5月3日の「第1話(エピローグ)」から9月13日の「第22話(プロローグ)」まで22回にわたり投稿しました小説「ある日曜日(Um Dia de Domingo)」が完結しました。

メニューバーの「プロフィール」でも紹介しましたが、この小説は、日本とブラジルの移住100周年である2008年にブログ配信し、特に中南米にお住いの多くの日系人の方々からアクセスいただいたた中編小説「ある日曜日(Um Dia de Domingo)」をバージョンアップして掲載したものです。

この小説には二つの思い出があります。一つ目は、2008年にこの小説の投稿を始めて、ストーリーが半分くらい展開した段階で、国内外の日系人向けの新聞を発行している会社の編集部から連載の打診があったことです。しかしながら、「やった!」と思って、掲載のための契約の話を進めようと思った矢先に、癌の病で入院することになり、連載が途切れて小説家としての「デビュー」の夢は消えました。

二つ目は、小説が完成した2009年の年明けに、某出版社が主催するエンタメ系新人小説賞に応募したことです。結果は当然ながら「落選」でしたが、1000倍以上の競争率を突破して「栄冠」を掴むことの難しさを痛感しました。この種の公募では、通常、売れない作家がアルバイトで行う「下読み」による予備審査、出版社の編集部を中心とするメンバーによる第二次審査、そしてようやく「著名な」審査委員の先生方による第三次ないし最終審査となります。私の原稿は、予備審査はかろうじて通過したものの、その先の壁は厚かったです。

 

さて、以下は、今回、小説の再連載を終えての私の感想です。

この小説の著作権は、売れる売れないに関わらず、当然私に帰属します。この小説は私のオリジナルの創作物であり、2020年の東京オリンピックのロゴの「パクリ騒ぎ」のように、他の作品の著作権を侵害するようなことはまずありません。でも、小説のネタやストーリーを考える上で頼りになるのは、結局、自分がこれまでの人生で得てきた経験や知識、さらにそれらに基づく思考しかないということです。

私の小説「ある日曜日(Um Dia de Domingo)」は、私が得た以下のような知識や経験に基づいて創作されています。

♥小説のタイトルは、私が好きなブラジル人女性歌手ガル・コスタのヒット曲「ある日曜日(Um Dia de Domingo)」にちなんでいます。あの村上春樹が自分の小説に「国境の⚪️⚪️」、「ノルウェーの⚪️」とか有名な歌手やグループの歌のタイトルを付けているのと同じです。

♥主人公のフリオが終戦時に「あいの子」として生まれ、私立の養護施設からブラジルに渡ったというストーリーは、三菱財閥の創始者・岩崎弥太郎の孫娘である沢田美喜が設立した「エリザベス・サンダース・ホーム」からヒントを得ています。

♥ブラジル人女性が六本木の路上で麻薬中毒により死亡しているのが発見される件は、2006年に六本木で起きた16才のブラジル日系人女性の変死事件にヒントを得ています。

♥野心家の実業家が夜空に輝く六本木ヒルズを見上げて、その脇でブラジル人の恋人が倒れるというシーンは、森村誠一の代表作「人間の証明」で、親から見捨てられた「あいの子」の青年が夜空に輝くホテルニューオータニのタワーを見上げて絶命したシーンにヒントを得ています。

♥群馬県の日系ブラジル人コミュニティーとは、有名な大泉町のことです。私が訪れたことのある場所やレストランなどを題材としました。

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♥小説の中に出てくるブラジルのグルメも私が普段楽しんでいるものです。

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写真の中央は、ブラジルの代表的な炭酸飲料「ガラナ」、手前は豚と豆の煮込み「フェジョアーダ」、左は焼肉「シュラスコ」です。

 

♥主人公フリオが訪れる新宿の「思い出横丁」や「ゴールデン街」も私にとって思い出の場所です。

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2週間前に撮った「思い出横丁」の駅側入り口です。

 

♥強制送還された外国人女性が、双子の姉妹のパスポートを使って再入国する件も実際にあった話です。

♥主人公フリオが南米で宝石商として成功した件も、実在の日本人実業家の話にヒントを得ました。

 

私の小説のネタを挙げればキリがありませんが、小説は自分の知識と経験の範囲内でしか書けないし、どの小説にもその作家が歩んできた人生が反映されているというのが私の持論です。

 

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