パナマ運河拡張工事の進捗率は94%、2016年4月に完了予定?

太平洋と大西洋を結ぶ世界の海運の要の一つであるパナマ運河(全長約80キロメートル)は、1914年に米国により建設/開通され、1999年に所有権がパナマ国に移管され、現在はパナマ運河庁が管理運営しています。2014年8月15日には、パナマ運河開通100周年を祝う式典や行事が各地で行われました。 

現在、同運河を航行する船舶の約4割がアジアと米国東海岸を結ぶ航路です。発着地別の通航量(トン数)では、日本は米国、中国、チリに次ぎ世界で4番目です。

気になる通行料ですが、船舶の大きさ(積荷を含む)によりますが、平均で5万ドル強、通行できる最大のサイズの豪華客船でなんと30万ドル(日本円で3千万円)以上だそうです。

近年の運河通航量の増大と船舶の大型化に対応するため、さらに中東のスエズ運河に対抗するため、従来の2つのレーンに加えて、2007年から3番目のレーンの建設工事(パナマ運河拡張工事)が行われています。パナマ運河庁は、今年9月末日時点の工事の全体進捗率は94%であると発表しています。開通100周年の2014年中に完了する予定であった同工事は、工事費の見積もりミスや労働者のスト等の影響ですでに1年以上遅延しており、現在のところ2016年4月の完了が見込まれています。

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パナマ運河拡張工事の概要です。(クリックすると拡大されます。)

 

パナマ運河は拡張によって、最大で幅49メートル幅(現在32メートル)、全長366メートル(現在294メートル)の大型船が通れるようになります。船の容量で言えば、コンテナ船は容量で2.6倍、ばら積み船も重量で2倍以上の船が航行できるようになるそうです。

さらに、これまで通れなかったLNG(液化天然ガス)輸送船が航行できるようになることも大きなメリットです。第3レーンは、将来的に米国で生産されるシェールガスの対日輸出ルートになる可能性が高く、アフリカ大陸の南端やスエズ運河を通るルートよりも、日本のエネルギー調達にかかる時間やコストが大幅に低減することが期待されています。

 

次は、私が今月に撮った写真で、パナマ運河の拡張工事の現状をご紹介します。(あまりうまく撮れていなくてすみません。)

太平洋側

これは、太平洋側の運河拡張工事の完成予定図です。右側が現存の2つのレーンで、左側が3番目のレーンです。

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左下が太平洋方面です。

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近くで撮った写真です。太平洋方面からレーンに入って、海抜26メートルの人造湖(がツン庫)まで登り、そこからレーンを下って大西洋に出ます。

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大西洋側

同じ日に、太平洋側から高速道路を走って、1時間強で大西洋(カリブ海)側に到着です。大西洋側には拡張工事現場の横にビジターセンターがあり、第3レーンの建設状況を目の前で確かめることができます。来年中には、アメリカの東海岸を出航した大型船が、ここを通って太平洋側に抜け、日本に向かうかもしれません。

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船舶の通行時に水位を調整する「せき」の役割をするゲートは、現在の2レーンは観音式ですが、第3レーンは引き戸式です。この鋼鉄製の巨大ゲートはヨーロッパから海上輸送されてやって来ました。

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第3レーンの全貌です。

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第3レーンはまだ左側の人造湖と繋がっていません。奥のほうでは、現在使用中のレーンに豪華客船が入っていきます。きっと、通航料は高いと思います。

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運河の太平洋側と大西洋側を半日で見学して、大西洋側のビジターセンターで遅いランチです。蒸し暑い野外なので、ビール(PANAMA)が美味しいです。

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このビジターセンターのレストランは、味はイマイチですが、目の前の広い湖を行き来する船を眺めながらのランチは気分がいいです。

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来年、拡張工事が完了する頃にまだパナマにいれば、またここに来てみたいです。

 

(追記)パナマ運河の拡張工事は終了し、2016年6月26日に竣工式が行われました!!!

 

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