「シン・ゴジラ」の評価と感想(ゴジラと共に歩んだアラカン人生!)

息子の結婚式に出席するために一時帰国したついでに、7月29日から一般公開されてヒットしている「シン・ゴジラ」を自宅の最寄り駅のそばにあるTOHOシネマズで観て来ました。予告編はこちらです。

実は私はゴジラの大ファンで、生まれる前年の1954年に公開された第1作の「ゴジラ」からハリウッド版のゴジラも含めて、現在までに内外で公開された30以上の作品を全て観ています。映画ファンの私ですが、これまでの人生で一番楽しませてもらっているのがゴジラシリーズの映画です。

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さて、この映画についての私の総合的な評価と感想です。ゴジラ以外に日本という国に焦点を当てた脚本、出演した俳優の多彩さ、CGの出来栄えなど、これまでのゴジラシリーズの作品の中では、そのユニークさで特筆されるべきレベルの娯楽作品に仕上がっています。シリーズ最高の観客動員数を記録しているのも納得できます。

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以下は、映画を観てのコメントです。

♠「現実(日本)対虚構(ゴジラ)」のキャツチフレーズの通り、先の東日本大震災への対応に見られたように、戦後築かれた日本の政治や行政のシステムの制度疲労が主要なテーマになっています。縦割り行政に見られるような非効率性と事なかれ主義、前例や関連法令が無いために新しいタイプの緊急事態に対応できないシステム、国のためより自分自身の出世と保身のために生きる政治家、連帯責任という名の無責任体制など、民主国家である日本の機能不全による危機が執拗に描かれます。でも、日本人の目から見ると興味深い内容の展開が続きますが、日本のことをよく知らない外国人が観るとよく理解できない部分があると思います。

♠さて今回のゴジラの姿です。最初に東京湾から大田区の川を遡って登場した時は、「何これ?」、こんなのゴジラじゃないぞと思いました。まるでかつてのテレビ番組ウルトラマンの対戦相手だった怪獣並みに、魚のような目をしたぬいぐるみ並みのダサさです。実際にゴジラには見えなかったので、その後に主人公のゴジラが出てきてこいつと戦うのかなと思いました。しかしながら、こいつが脱皮というか進化した姿はすごいです。全身が溶岩のような炭素的な皮膚に覆われ、体の中は原子炉か火山のの中のマグマのように燃えたぎっています。身長はこれまでのゴジラで一番高く100メートル以上ですが、頭の割合の小ささ、太くて長い尻尾、退化したような腕、ノコギリ状の歯、死んだような小さな目など、これまでにない特徴を備えた怖いゴジラです。今回のゴジラでは、身長の半分くらいある尻尾が強力な武器にもなって誇張されていますが、小さな腕は全く使いません(使えない?)。

♠最初は移動したり歩くだけで東京の街を破壊したゴジラですが、自衛隊や米軍の攻撃の攻撃には反撃します。口からの火炎砲は相変わらずですが、背びれから放つ光線はスターウォーズのライトセーバーのように相手やビルディングまでも真っ二つに切り裂きます。しかしながら、ウルトラマンがエネルギーを消耗するとカラータイマーが鳴るように、今回のゴジラもある程度エネルギーを消耗すると休眠状態になります。原子炉の様なゴジラの体内でエネルギーが再生されるまでが「駆逐」のための作戦を練るチャンスです。国連で決議された核攻撃が行われる前に日米両軍が合同で行った「ヤシオリ作戦」の意味が分かりませんでしたが、「ヤシオリ」とはヤマタノオロチを大人しくさせるために飲ませた酒のことらしいです。ゴジラをフリーズさせる血液凝固剤をこれに例えたのでしょうが、「ヤシオリ」の意味を知っている人は相当な知識と教養がある人でしょう。

♠ハリウッド版のゴジラの映画に影響されてか、今回の作品では CG技術が十分に駆使されています。ごちゃごちゃ密集した都心の街がゴジラに破壊される様子が実にリアルに描かれています。ゴジラは世田谷区の住宅地から千代田区と港区に移動しましたが、東京タワーや国会議事堂が今回も破壊されたかどうかは不明です。最近の東京のシンボルであるスカイツリーが倒されるのではと期待しましたが、それもありませんでした。でも、もし都心を虚構のゴジラではなく現実の地震や津波が襲ったとしたら、恐ろしいことになるなと想像させてくれます。

♠日本の多くの俳優が出演しそれぞれの役を好演していますが、唯一のミスキャストは米国大統領特使役の石原さとみです。英語力は仕方がないとしても、将来大統領を目指すような器のキャラクターにはとても見えませんでした。この映画は今後米国でも公開されるらしいですが、米国のゴジラファンはきっと苦笑することでしょう。この役は、たとえば次期大統領候補のクリントン元国務長官をイメージしたような米国女優に任せれば面白かったかと思います。それから、ヨーロッパではたとえばドイツのメルケル首相をイメージしたような女優が出てきて、日本と再び同盟して戦おうとか言えば、バロディ的な雰囲気が加わってさらに楽しい映画になったかと思います。

♠この映画は、ゴジラが皇居の手前の東京駅のそばでフリーズし、続編への期待が高まって終わります。私はもうアラカンですが、今後の人生でもまだまだゴジラの映画を楽しめそうです!

(なお、上記の写真は各作品のポスターから引用させていただきました。)

 

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