「ピクセル(PIXELES)」感想と評価(今蘇るインベーダーゲームの時代 !)

「ハリー・ポッター」や「ナイト・ミュージアム」シリーズと同じ監督が手がけた最新作「ピクセル(PIXELES)」を職場から直行して観に行きました。日本では9月から上映されるらしいですが、パナマでは先行上映されています。いつも行っているVIP映画館では上映していないので、別のショッピングセンターにある映画館に出かけました。
平日の夜8時開始にもかかわらず、親に連れられた子供が一杯います。やはり、ラテンの国は日本と違いますね。スヌピーを真似たようなキャラクターが出迎えています。
Wikipediaによると、ストーリーはざっと以下の通りです。
1980年代、NASA(アメリカ航空宇宙局)は地球外生命体に向けて当時流行していたゲームを収録した映像などを友好目的として送った。だが、それを見た異星人はメッセージを”果たし状”と誤解してしまう。そして2015年、異星人たちは映像を基にゲームのキャラクターを兵器として再現し、地球に送り込んだ。物質をブロック(ピクセル)に変える能力の兵器が世界のあらゆるものをバラバラに分解していく中、かつての最強オタクゲーマーが立ち上がる。
なお、今回は、英語のオリジナル版ではなく、スペイン語による吹き替え版を観ました。スペイン語版の公式予告編はこちらです。
日本公開前なので、パナマで公開されているポスターの写真を使いながら、なるべくネタバレしないようにコメントや感想を述べます。
♥最初の舞台は1982年。アラカン世代は、私を含めて現在のゲーム界の事情には疎いと思いますが、多くの方々は、当時喫茶店のテーブルなどに埋め込まれたインベーダーゲームなどを楽しまれた経験があると思います。この映画では、スペースインベーダー、パックマン、ドンキーコング、ギャラガなど、1980年代から世界中を虜にしている日本発のゲームキャラクターたちが勢揃いします。異なるゲームメーカーのヒーローが一同に会すると、あのアベンジャーズ(Marvel’s The Avengers )の映画を思い浮かべますが、アベンジャーズが地球を救う集団なのに対し、こちらは地球をピコピコ侵略する軍団です。80年代のシンボルとして、あのレーガン大統領や歌手のマドンナの顔も登場します。
♥宇宙からの侵略軍を迎え撃つのは、80年代のレトロゲームにはまり、その後もオタクの性格が変わらないオヤジ連中です。現役の大統領もいれば、刑務所に入っている輩もいます。ゲームから飛び出してきたような敵に対抗するには、敵の攻撃パターンが読めて、攻略方を熟知している連中に頼るしかありません。逞しい海兵隊員たちがゲーセンのような場所で、連中からゲームをクリアーするためのトレーニングを受けます。
♥ヒロインで登場する空軍の女性中佐役を含めて、登場するどの俳優のキャラも光っています。それから、あまり宣伝されていませんが、女子プロテニス界のスター、セリーナ・ウイリアムス(Serena Williams)もこの作品で映画デビューし、好演しています。
♥ホワイト・ハウスの中も外も映画の主要舞台になっていますが、アフリカ系の海兵隊員がオタク系の大統領に抱きつき、「オバマの次に好きな大統領はお前だ」とか叫ぶ場面は、さすがは大らかな国アメリカです。日本の映画には現役の首相の名前は決して登場しないと思います。
♥レディー・リサ(Lady Lisa)とかいうグラマーな女性キャラクターが登場しますが、ここら辺がアラカン世代の限界で、何のゲームから出てきたのか分かりません。リサではなく、ガガ(GaGa)なら知っていますが…。日本刀を二刀流で持っていたので、あのキル・ビル(Kill Bill)かと思いましたが、どうも違うようです。
♥オタク軍団の攻撃中に流れるウィ・ウィル・ロック・ユー(We Will Rock You)は、ミュージカルにもなったクイーン(Queen)の大ヒットですが、これもアラカン世代には懐かし嬉しくて、ドンキーコングが投げる樽をたくみに交わすマリオ役のオヤジを思わず応援したくなりました。日本語吹き換え版のピクセルでは、現在日本のオタク的スーパーヒロインである三戸なつめが歌う曲が使われるそうですが、この映画の時代背景を考慮するとやや疑問です。
♥ともかく、メチャクチャなストーリー展開のB級映画ですが、アラカン世代にとっては青春時代が蘇り、懐かしさも漂う映画でした。今なぜこんな映画が作られたのかは不明ですが、グローバル社会での日本のオタク文化の影響力を改めて実感しました。やー、平日の夜の仕事帰りにこんな愉快な映画を観るのも楽しいですね。