Portugal(Lisbon)旅行(4)ポルトガルの郷愁(Saudade)に溢れたファド(Fado)に魅せられました。

ポルトガルの民族歌謡「ファド」。ファド(Fado)とは英語のFateと語源が同じで、「運命」とか「宿命」の意味があるそうです。リスボンの下町に生まれたというファドは、人生の哀愁を時には力強く、また時には悲しく歌い上げます。フラメンコ、タンゴ、マリアッチと並んで、2011年にはユネスコの「世界無形文化遺産」に認定されたそうです。
すでに他界しましたが、「ファド界の女王」と呼ばれた「アマリア・ロドリゲス」の歌をお聴きください。「演歌の女王」と呼ばれた「美空ひばり」と同じくらい存在感のある歌手です。
ついでに、ファド界の現役スター「マリーザ」の歌もよろしければお聴きください。
以前通勤していた四ツ谷駅の側に「マヌエル・カーザ・デ・ファド/Manuel Casa de Fado」というポルトガル料理の店があり、時々通っていました。たまにファドのショーが行われていましたが、行く機会がありませんでした。今回は、本場のポルトガルでようやくファドを聴くことができました。
ホテルはリスボンの低地(「バイシャ「Baixa」と呼ばれます)にあるので、ケーブルカーに乗って高地(バイロ・アルト「Bairro Alto」と呼ばれます)にあるファドのレストランに向かいます。それにしても、この落書きだらけのこのケーブルカーはレトロな雰囲気ですね。まるで、「トトロ」の映画に出てくる「猫バス」です。
ケーブルカーにわずか2、3分乗って高台に着きます。リスボンはこの時期でもあまり寒くないので、皆さん外で夜の時間を楽しんでいます。
1968年創業の老舗「ファカルド(O Facardo)」に着きました。このレストランはホテルから一番近いという理由で選んだのですが、日本から団体旅行で来られる方々もよく利用されているそうです。
店の中はこんな感じです。ポルトガルの名物である装飾タイル(アズレーニョ)による絵が飾られています。
私はいつも通り、とりあえずビールです。この「Sagres」は、「Super Bock」と並び、ポルトガルで人気のあるビールの銘柄です。
セニョーラは、この店のお勧めに従って、ポルト地方で生産された辛口の白ワインから始めました。
「ファド」が始まる前にまずディナーですが、メニューの品数が多くて迷います。隣の観光客らしい夫婦も迷っています。結局、お店のお勧めのポルトガル料理にしました。
まずは、ジャガイモとキャベツが入ったスープ「カルド・ベルデ(Cardo Verde)」です。
この「緑のスープ」は素朴な味で、なかなか美味しいです。
ポルトガル名物ではありませんが、旅行に出て以来食べていなかったトマトをチーズとともにいただきます。
さて、メインはお店のお勧め「鱈(Bacalao)の煮込み」です。一人前を半分ずつにしてこの量です。分かりにくいですが、皿の真ん中が鱈で、周りがジャガイモの付け合わせです。
やや濃いめの味付けですが、ビールやワインによく合います。
さて、21時頃にお待ちかねのファドのショーが始まりました。ファドの歌手は「ファディスタ(Fadista)」と呼ばれます。
余興のポルトガル民族舞踊です。この店は家族経営らしく、子供のダンサーも混じっています。
二人目のファディスタは男性です。一人目より明らかにレベルが上です。
歌の間に、ギターのソロ演奏が入ります。写真は、ファド用のギターです。スチールの12弦が張られ、迫力ある音色です。向こうの席で、セニョーラが聴き入っています。
3人目のファディスタは、存在感もレベルもさらに上です。夜が更けてきたためか、早い時間に来られていた日本からの団体のお客さんはいなくなりました。
安くて美味しいワインも、もうボトルが空になりました。いゃ〜、ポルトガルの郷愁(サウダージ)に溢れたショーにすっかり酔いしれました。
美味しい酒と料理を味わいながら、リスボンの夜を堪能させていただきました。
ケーブルカーは夜遅くまで営業しています。
通りはまだ多くの人で賑わっています。ラテンの夜は長いです。
帰り道でセニョーラが、こんな時間まで開いているスイーツの店に入って行きました。そういえば、レストランではデザートを食べませんでした。
ホテルに帰って、バルコニーから撮った「ロシオ広場」の夜景です。上の方には「サン・ジョルジョ城」の夜景も見えます。リスボンの街は昼も夜も本当に絵になります。
最近のファディスタAna Mouraの歌も聴かせてくれます。
Vanessa Alvesという歌手もいいですね。よろしければ合わせてお聴きください。
この夜、ポルトガルがますます好きになりました。今年になって、スペイン、フランス、ポルトガルと旅行しましたが、ラテンの国はどこも楽しいです。