Travel and Tourism Competitiveness Report【旅行・観光競争力レポート】 「おもてなし」だけではない日本のNO1

先日、世界経済フォーラム(WEF)から、「旅行・観光競争力レポート(Travel and Tourism Competitiveness Report)」が発表されました。
・・・項目別に見ますと、日本は「観光客へのサービス」いわゆる「おもてなし」や、「テロの脅威のなさ」、そして「鉄道インフラの質」など7つの項目で1位となり、高い評価を受けました。
一方で、空港使用料や燃料費の高さなどから算出された「価格競争力」は119位で、全体の順位を下げる要因になっていると指摘されています。
この調査で最も競争力が高いとされたのはスペインで、2位はフランス、3位はドイツとヨーロッパ各国が上位3位を占め、アジアでは11位にシンガポール、13位に香港、17位に中国、29位に韓国などとなっています。(5月7日 NHK NEWS Webニュース)
世界一のおもてなしの国と言われる日本ですが、外国人にとって物価の高い国と言われて久しいです。
確かに、大都市圏の不動産価格とそれに連動した宿代、国内の鉄道や航空賃は高いと感じます。
でも、「私のミシュランガイド(ビブグルマン編)その1」でご紹介しましたが、日本はレストランだけでなく、コスパ(CP)の良い宿の宝庫でもあると思います。
本日は一例として、昨年の夏に訪れた湯河原温泉にある「おやど瑞月」をご紹介します。
箱根と熱海の間にある湯河原には、大人の隠れ家的な宿が沢山あります。一泊で片手の指の数以上の万札がすっ飛ぶ宿もありますが、ミシュランガイド湘南編(606ページ)でも紹介されているここは、CPの良い宿の代表格です。
例によって、ここは女将とその旦那が切り盛りしている部屋数5つの、私が好きなこじんまりとしたタイプの宿ですが、外国の宿では決して味わえない下記の特色を備えています。
- 日本的なおもてなし
- 純和風の非日常的な雰囲気
- 清潔で気持ちのいい温泉風呂
- 熟練の料理長による正統派会席料理
さて、気になる料金ですが、二人で泊まった場合、一泊二食付きで一人200ドル弱です(1ドル120円で換算)。
200ドルと言う額だけ見ると高い気がします。でも、都心の個室のあるレストランでこのレベルの会席料理コースと朝食を味わえば、それだけで合計200ドル以上かかると思うので、これに宿泊と温泉と極上のサービスが付くと考えれば、投下したコストが生み出すベネフィット、つまりCPはすごく高いと思います。
世界中のいろいろな国に行きましたが、これほどCPのいい宿が沢山ある国は見当たりません。今回紹介した「おやど瑞月」クラスの旅館やホテルは日本全国いたるところにあり、すでに台湾、香港、中国本土からの観光客を集めています。
2020年の東京オリンピックに向けて、これから日本を訪問する外国人観光客がさらに増えると思いますが、おもてなしを含めてCPに優れた日本のホテルや旅館が海外でもっと宣伝されれば、日本の旅行・観光競争力はさらにアップするでしょう。
ところで、最近は、ブルーボトルコーヒーとか、アマンリゾートホテルとか、日本のおもてなしの精神に影響を受けたような外国のサービス業チェーン店が続々と日本に上陸しています。おもてなしのコンセプトがグローバル化している証拠ですが、おもてなしが世界に広がれば、私たち日本人の海外旅行ももっと快適になるかもしれません。