Spain旅行(6) Restaurante TATEL Madrid スペイン料理界の世界制覇プロジェクトが始まった!

いきなり恐縮ですが、私のブログで今年の6月に投稿したThe World’s 50 Best Restaurants 2015 「2015年世界のベストレストラン50」に関する記事の中から引用します。

ヨーロッパ諸国では15件が50位以内にランク入りし、内訳はスペイン7件、フランス5件、イタリア3件です。…従来グルメでは、フランスとイタリアが双璧、スペインはその後を追う形でした。しかしながら、今回発表されたリストでは、スペインは1位のレストラン以外にも6件がランキング入りし、レベルの上昇が伺えます。

 

日本からパナマに戻る際、スペインで丸一日時間があったので、世界のグルメ界に君臨しつつある現在のスペインを代表するレストランに立ち寄りたいと思っていました。でも、スペインからランク入りしているレストランのほとんどはマドリードではなく、フランス国境近くのサンセバスチャン等の都市にあります。

そこで、セニョーラが事前にパナマ在住のスペイン人の奥様達に、今マドリードで評判のレストランについて尋ねたところ、今年になってオープンしたタテル(TATEL)というレストランの存在を知ることになりました。

日本ではまだ知られていないこの店ですが、英語やスペイン語のウェブサイトで調べたところ、今マドリードのグルメ好きの間で評判のレストランの一つであることが分かりました。なにせこの店、スペインのガストロノミー界の重鎮が、世界で活躍するスペイン人スターである、テニスのナダル( Rafael Nadal)、バスケット(Chicago Bulls)のガソル(Pau Gasol)、さらにあのフリオイグレシアスの息子エンリケ・イグレシアス(Enrique Iglesias )らの賛同と出資を得て、世界制覇を目指すプロジェクトの第一弾として今年の3月にマドリードにオープンしたそうです。→参照記事はこちら

 “TATEL es una voluntad. Es el brillante reto de conquistar el corazón de las ciudades más importantes del mundo con el “España de ahora”. → TATELの目標は「スペインの(ガストロノミーの)今」を世界中に伝え人々のハートを掴むことです。 HPからの引用

 世界に進出しつつあるスペインのガストロノミーの今を知るにはここに行くしかないと思い、美術館(「ソフィア王妃芸術センター(Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia)」の見物の後、午後の遅い時間に訪問しました。

 

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外観はこんな感じです。場所はお洒落なお店が立ち並ぶサラマンカ(Salamanca)地区の目抜き通りセラーノ通り(Calle de Serra)に近いところです。東京で言えば南青山あたりでしょうか。

 

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このレベルの店では常識である予約もせずに行きましたが、受付のセニョリータは満面の笑顔で迎えてくれました。スペインの伝統的なバル兼レストランは、入り口近くにバルスペース(立ち飲みの場合もあり)があり、その奥がカジュアルな軽食スペース、さらにややフォーマルなレストランスペース等に分かれ、同じものを飲んだり食べたりしても、この順番に料金が高くなるのが普通です。

ここも高級店ながら、中はそうした構造になっていました。折角なのでレストランスペースを希望すると、セニョリータは「今準備します」と奥に消え、すぐに戻って来てカップル専用席に案内してくれました。そこでは、テーブル担当の別のセニョリータがまた素敵な笑顔で迎えてくれました。

レストランの中は想像以上に広く、ダンススペースや個室までありました。スペインのレストランの昼の開店時間は遅く、ここも1時30分にオープンし、夜はなんと夜中の2時30分まで営業しているそうです。それにしてもさすがスペインの一流店、内装のセンスの良さには目を奪われます。ここもスペイン流に黒と赤を基調にしています。

新しいレストランであるためか、外国人観光客と思われる客がほとんどおらず、上の写真の通り、地元の人たちがお洒落な格好をしてゆっくりを食事を楽しんでいました。私たちはどう見ても一見のおのぼりさん観光客ですが、こうした客へのフレンドリーなおもてなしは、さすが観光立国スペインから世界を目指している店だなと思いました。

私、レストランは、味、雰囲気、サービスを総合的に加味して評価していますが、この店の雰囲気とサービスはこの時点で早くも高得点です。

【余談ですが、こうしたカップル席、日本ではグルメ好きの女性が二人連れ(たまに男性の二人連れ)で座っているのをよく見かけますが、スペインなどラテンの国では夫婦、恋人、愛人など男女の組み合わせで座るのが普通です。ラテンの国では、こうした場所でゆっくり酒を飲み、旨い料理を食べながら男と女がアモールを語り合います。なお、写真の手前から二番目の女性は寂しそうに一人で座っていますが、それは連れの男性がトイレに立ったついでに写真を撮っているからです。(笑)】

 

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最初に、付け出しのパンと、パンに添えるパテと完熟トマトとニンニクの輪切り、さらにオリーブ油が出てきます。冷えたスパークリングワイン(Cava)との相性も抜群です。このパテ、例のイベリコ豚から作っているらしく、絶妙な味と舌触りです。でも、パンが美味しくて、食べ過ぎたのが後に響きました。

 

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メニューを見ると品数が多くて選択に迷ったため、初めての店で頼りになる次の基準で決めました。

  • (予算の範囲内で)店のお勧めの品を聞く。
  • メニューの各ジャンルの一番上にある品に注目する(値段がリーズナブルかつその店のスタンダード料理でハズレが少ない)。
  • 料理人の腕前が分かりやすいシンプルな品を選ぶ(応用編や季節の料理は当たり外れがある)。
  • 店の名前(TATEL)が付されている品に注目する(その店の売りの料理である)。

 

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まず前菜(ENTRANTES)のジャンルからは、店のお勧めで新鮮レタスとウズラ鳥肉のマリネ(Ensalada de lechuga fresca y codorniz en escabeche)」を選びました。量が多そうなので、一品をシェアしました。

最初から驚き!! 担当のセニョリータは、なんと植木鉢に刺さった元気が良さそうなレタスを持ってきて、その場でハサミで切り始めました。いろいろなレストランに行きましたが、このパフォーマンスはあのBENIHANAの鉄板焼き以上のインパクトです。店が独自のルートで仕入れている有機野菜だそうですが、「ちゃんと洗ってあるのかな?」とか「虫は付いていないかな?」とか少し心配になりました。

ボールにはあらかじめ各種ハーブに玉ねぎのスライス、ウズラ鳥肉が入っていて、酢とオリーブ油と香辛料を混ぜた漬け汁(マリネード)で、切り取ったレタスと和えてくれます。

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お皿に盛るとこんな感じです。メニューの「新鮮レタス(lechga fresca)」という表現には偽りがありませんでした。なにせ、さっきまで鉢に植えてあったレタスですから。でもこの品、仕掛けだけでなく、中身もすごいです。レタス、各種ハーブ、玉ねぎ、さらにウズラ鳥肉がマリネードで絶妙に絡み合いながらも、それぞれの存在を主張しています(ウズラの卵はよく食べますが本体の方をいただく機会はあまりなかったです)。この一品を食しただけでもこの店に来た甲斐がありました。このレベルの料理なら、よく洗ってなくても、また一匹くらい虫が入っていても許せます。

 

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さて、いよいよメインの皿の登場です!

 

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魚(PESCADOS)のジャンルからは、メニューの一番上にある「バス(スズキ類)のオリーブオイル蒸し(Lubina confitada muy despacio en A.O.Virgen Extra)」を選びました。写真では分かりにくいですが、分厚くて凄いボリュームです。店の構造と同じく、一人前の料理の量もスペイン流です。最初にパテ付きのパンを食べ過ぎたのを後悔しました。でもこの品、新鮮な魚をじっくり時間をかけて丁寧に調理しています。ふっくらジューシーの薄味で、素材の味を十分に引き出しています。

 

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肉(CARNES)のジャンルからは、名前からして期待できそうなスペイン名産の「イベリコ豚の秘密ステーキ(Secreto de Ibérico a la parrilla)」を選びました。こちらの方はやや薄切りで「安心」しました。豚肉料理と言えば、しょうが焼き、とんかつ、骨付きステーキ、さらに韓国流三段バラなどがありますが、どれも「豚肉」の味がします。でもこの一品、脂身がさらりとして甘みがあって、知らずに食べると豚だか何だか分からないほど上品な味です。イベリコ豚は養豚場ではなく、森に放牧されてドングリなんかを食べながら育つと聞きましたが、そのせいですかね〜。

 

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メイン2品には、蒸し野菜と天ぷら風野菜が付きます。このレストラン、これまでに未体験のゾーンにあった料理を十分に堪能させてくれます。ソース(salsa)がかかった料理も試したかったですが、もうお腹が一杯です。付け出しと前菜無しに、いきなりメインを食して全体的にちょうどいい量です。

 

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 もう別腹のスペースも無さそうだなと感じつつも、デザート(POSTRES)のジャンルから、店の名前を冠した「タテル風りんごパイ(Tarta TATEL de manzana)」を一品だけ頼んでシェアーしました。満腹にやっと詰め込んだせいか、この一品だけ食べればさぞや美味しいだろうなと「想像」しました。

 

十分に満足してセニョリータにお勘定(la cuenta)を頼むと、なんと100ユーロちょうど。チップを入れて一人8000円程度でしょうか。あまり酒を飲まなかったせいもありますが、このレベルの店にしては実にリーズナブルな値段です。コスト(C)に見合うベネフィット(B)がありました。このレストラン、すでに英国と米国での支店進出が決まっているそうですが、ぜひ日本にも来てほしいです。

席を立つ時に周りを見回すと、私たちよりも前に来ていたカップル達は何本目かのワインを飲みながらまだアモールを語り合っています。男と女の真剣勝負は夜まで延々と続くのでしょうか。スペイン滞在の最後の日、どこまでもラテン的な雰囲気を100%堪能させていただきました。Muchas Gracias !

 

 

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