「アラカン男の独り言」アメリカが戦うべき「敵」はどこにいるのでしょう ?

7月8日の朝、いつものようにCNNのニュースを見ると、前の晩にダラスで銃撃戦が起こり、多数の死傷者がでたと伝えていました。またイスラム国(ISIS)の犯行かと思いきや、どうも様子が違い、白人の警察官5人が黒人のスナイパーに射殺されたとのこと。最近南部ルイジアナ州と中西部ミネソタ州で、黒人男性が白人警官に相次いで射殺されたことへの報復らしいです。「黒人の命も大切だ(Black Lives Matter)」という全米に広がっている平和的なデモに乗じた犯行でした。(写真はいずれもCNN Newsから引用させていただいました。)

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米国の警察に対する一度の攻撃でこれほど多くの死者が出たのは、2001年の9.11同時テロ以降では初めてだそうです。

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今回の事件を見て、1992年の4月の下旬に私がロサンゼルス(LA)で実際に体験した黒人グループによる暴動を思い出しました。ロドニー・キングという黒人男性が白人の警官達に暴行され、この様子を撮影したビデオがテレビに流れていました。最近中西部ミネソタ州で起きた白人警官による黒人の射殺事件が、SNSによって現場から全米に実況中継された状況に似ています。LAでの暴動の直接のきっかけは、暴行に関わった白人警官達が無罪放免となったことでした。黒人による暴動はLA市警だけでは鎮圧できず、当時の市長トム・ブラッドレー市長(黒人)は非常事態宣言を発しました。この暴動は、カリフォルニアの州兵に加えて連邦軍四千人近くが動員されてようやく鎮圧されました。

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ところで、昨年7月4日のアメリカ独立記念日の記事で、最近亡くなったモハメット・アリが半世紀前に語った言葉を紹介しました。

 

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Why should they ask me to put on a uniform and go ten thousand miles from home and drop bombs and bullets on brown people in Vietnam while so-called Negro people in Louisville are treated like dogs and denied simple human rights? No, I am not going ten thousand miles from home to help murder and burn another poor nation simply to continue the domination of white slave masters of the darker people the world over. This is the day when such evils must come to an end. I have been warned that to take such a stand would put my prestige in jeopardy and could cause me to lose millions of dollars which should accrue to me as the champion. But I have said it once and I will say it again. The real enemy of my people is right here. I will not disgrace my religion, my people or myself by becoming a tool to enslave those who are fighting for their own justice, freedom and equality… If I thought the war was going to bring freedom and equality to twenty-two million of my people they wouldn’t have to draft me, I’d join tomorrow. But I either have to obey the laws of the land or the laws of Allah. I have nothing to lose by standing up for my beliefs. So I’ll go to jail. We’ve been in jail for four hundred years.

奴隷の主人(白人)の支配を続けさせるために、なんで何千マイルも離れたベトナムまで行って、黄色い人たちに爆弾や銃弾を浴びせなきゃならないんだ。正義と自由と平等のために戦っている連中を奴隷にするための道具になんかなれるか。本当の敵はベトナムじゃなくてここにいるんだ。俺は自分の信念に従って失うものは何もない。牢屋に行こうじゃないか。どうせ俺たちは何百年も牢屋にいるんだから。(拙い要約ですみません。)

当時兵役を拒否したイスラム教徒であるモハメット・アリは、俺たち黒人の本当の敵(=白人)は外国ではなくここ(アメリカ)にいるんだと語りました。半世紀前にモハメット・アリが語った言葉は、今回の事件を起こした黒人達にも語り継がれていたのでしょうか。いまやアメリカは、彼らとISISの共通の敵になったのでしょうか。

話はまた変わり、昨年5月の記事で、イラク戦争に4回従軍して、女性や子供を含む160人以上のイスラム教徒を射殺してアメリカの英雄として讃えられた実在のスナイパーの話を取り上げました。

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今回の事件を起こした黒人男性も陸軍予備役の兵士として、スナイパーとしての特訓を受けていたそうです。でも、彼の銃口は、イスラム教徒でなくアメリカの白人警官に向けられていました。半世紀前のモハメット・アリと同じく、彼にとっての敵は、外国ではなくアメリカの国内にいたのです。

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ところで、今回のダラスにおける事件で、さらに興味を引いた点がありました。一つは、事件が1963年にケネディ大統領がスナイパーにより暗殺された現場の近くに起きたこと。もう一つは、黒人青年のスナイパーが、ロボットが運んだ爆弾により殺害されたことです。

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ロボット対人間の戦い、これはもうターミネーターが描いた未来の世界です。アメリカが国の内外にいる「敵」と戦うために、ロボットを使う日がついにやってきました。

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