パナマ運河拡張工事が完工。最初に通過した超大型コンテナ船が支払った通行料は?

2007年に開始されたパナマ運河拡張工事が完工し、6月26日(日)に大統領他パナマ国の関係者と世界60カ国以上からの参列者の出席の下、盛大な開通式典が行われました。 (写真と図は、パナマ運河庁ACPのHPから引用させていただきました。)
ところで、パナマ運河とその拡張工事の概要については、以下の通りです(昨年10月23日の記事からの抜粋です)。
太平洋と大西洋を結ぶ世界の海運の要の一つであるパナマ運河(全長約80キロメートル)は、1914年に米国により建設/開通され、1999年に所有権がパナマ国に移管され、現在はパナマ運河庁が管理運営しています。2014年8月15日には、パナマ運河開通100周年を祝う式典や行事が各地で行われました。
現在、同運河を航行する船舶の約4割がアジアと米国東海岸を結ぶ航路です。発着地別の通航量(トン数)では、日本は米国、中国、チリに次ぎ世界で4番目です。
気になる通行料ですが、船舶の大きさ(積荷を含む)によりますが、平均で5万ドル強、クイーン・エリザベスなど通行できる最大のサイズの豪華客船でなんと30万ドル(日本円で約3千万円)以上だそうです。
近年の運河通航量の増大と船舶の大型化に対応するため、さらに中東のスエズ運河に対抗するため、従来の2つのレーンに加えて、2007年から3番目のレーンの建設工事(パナマ運河拡張工事)が行われています。パナマ運河庁は、今年(2015年)9月末日時点の工事の全体進捗率は94%であると発表しています。開通100周年の2014年中に完了する予定であった同工事は、工事費の見積もりミスや労働者のスト等の影響ですでに1年以上遅延しており、現在のところ2016年4月の完了が見込まれています。
パナマ運河は拡張によって、最大で幅49メートル幅(現在32メートル)、全長366メートル(現在294メートル)の大型船が通れるようになります。船の容量で言えば、コンテナ船は容量で2.6倍、ばら積み船も重量で2倍以上の船が航行できるようになるそうです。
さらに、これまで通れなかったLNG(液化天然ガス)輸送船が航行できるようになることも大きなメリットです。第3レーンは、将来的に米国で生産されるシェールガスの対日輸出ルートになる可能性が高く、アフリカ大陸の南端やスエズ運河を通るルートよりも、日本のエネルギー調達にかかる時間やコストが大幅に低減することが期待されています。
今回の拡張工事で建設されたレーン(閘門)は、以下の通りです。
太平洋側
左側が完成した第3レーンです。ココリ(Cocoli)という場所にあるので、「ココリ閘門(Esclusas de Cocoli)」とも呼ばれます。右側の船が通っている場所が、既存の第1及び第2レーンです。
大西洋(カリブ海)側
右側が完成した第3レーンです。アグア・クララ(Agua Clara)という場所にあるので、「アグア・クララ閘門(Esclusas de Agua Clara)」とも呼ばれます。左側の船が通っている場所が、既存の第1及び第2レーンです。
26日の開通式典では、事前の抽選で選ばれた中国のCOSCO Shipping社が所有する超大型のコンテナ船(9400のコンテナを搭載)が、大西洋側から太平洋側に最初の通行を行いました。パナマ運河の第三レーンを利用する大型船は、「ネオパナマックス(Neopanamax)」船と呼ばれます。そして、気になる通行料金ですが、この中国の船舶の場合は、なんと約60万ドル(日本円で6千万円以上)を支払ったそうです。
また、開通式典の翌27日には、日本郵船(NYK)が運航する幅37メートル長さ230メートルの液化石油ガス(LPG)船が米国のヒューストンに向かうために第3閘門を通過しました。(日本の会社が運航する船ですが、いわゆる便宜置籍船制度によりパナマ船籍となっています。)日本と米国東海岸の間の同型船の所要日数は、従来の南アフリカの喜望峰経由に比べて約4割短くなり、海上輸送の大幅な効率化が実現しました。
最近はいわゆる「パナマ文書」にまつわる問題で、世界中で芳しくないイメージを持たれてしまったパナマですが、この日は多くの国民が自国に対する誇りと自信を取り戻したように思われました。
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